「うわぁ……」
 クリスマスイルミネーションで飾られた通りの街路樹。
 歩道に面した各お店では、ツリーやサンタの形が光っている。
 スピーカーから流されるクリスマスソングに乗って、通りを歩く人々の楽しそうな会話が聞こえてくるのは師走ならではの光景だった。

 そうか、ホタルはこんな風景を見るのは初めてなんだな……。

「光ってる……」
 いつまで経ってもため息を止めようとしないホタルを見ながら、僕は彼女に不憫さを感じていた。

 でも、まずはぬいぐるみを確保しなくっちゃ!
 僕は、ホタルを引きずるようにしてぬいぐるみのところまで移動する。
 よし、確保!
 ぬいぐるみを拾い、額の渦巻紋様を確認しながらチラリとホタルを見る。彼女はいまだ放心中だった。
「綺麗……」
 その大きな瞳に、キラキラとイルミネーションが反射していた。

 普段は、ケイの奥底に隠れているホタルという人格。
 彼女一人では、街も歩くことはできない。
 それなら、今晩くらいは夜景を楽しませてあげてもいいんじゃないだろうか。
 だってこんなに喜んでいるんだから。

 ――ホタルがケイに戻ってしまうその前に。

 僕は彼女に、街の景色を見せてあげたいと思った。


 >つづく