「それじゃ、また学校で」
「うん、また学校で。ぜったいホタルって呼んじゃダメだからね」
駅前広場に着くと、手を繋いだまま僕達は別れの言葉を交わす。
「そうだ。学校でさ、綾小路桃太郎君を探すの手伝おうか?」
意地悪そうに僕が訊くと、恥ずかしそうにケイが答えた。
「やだ、まだそんなこと覚えてんの? それはもういいの、忘れて」
嬉しかった。綾小路桃太郎のことよりも、僕のことを優先してくれて。
まあ、今日はもう遅いから、綾小路桃太郎の正体明かしは今度にしよう。
ケイとはこの先もうまくやっていけるような気がした。
そして最後に残ったのは、繋がれた二人の手。
「それじゃ」
「うん」
こんなに名残惜しいのはなぜだろう。
僕はゆっくりとケイの左手を離す。すると――
ケイは突然しゃがみこんでしまった。
「おい、どうしたんだよ、ケイ!」
しかし何も返答はない。
「うっ、うっ……」
それどころか、ケイのすすり泣く声が聞こえてくる。
「どうした。お腹でも痛いのか?」
「ここ、どこ? あなたは誰?」
ええっ、それって……?
「ホタル、怖い……」
またホタル!?
見ると、彼女はぬいぐるみを持っていなかった。
>つづく
「うん、また学校で。ぜったいホタルって呼んじゃダメだからね」
駅前広場に着くと、手を繋いだまま僕達は別れの言葉を交わす。
「そうだ。学校でさ、綾小路桃太郎君を探すの手伝おうか?」
意地悪そうに僕が訊くと、恥ずかしそうにケイが答えた。
「やだ、まだそんなこと覚えてんの? それはもういいの、忘れて」
嬉しかった。綾小路桃太郎のことよりも、僕のことを優先してくれて。
まあ、今日はもう遅いから、綾小路桃太郎の正体明かしは今度にしよう。
ケイとはこの先もうまくやっていけるような気がした。
そして最後に残ったのは、繋がれた二人の手。
「それじゃ」
「うん」
こんなに名残惜しいのはなぜだろう。
僕はゆっくりとケイの左手を離す。すると――
ケイは突然しゃがみこんでしまった。
「おい、どうしたんだよ、ケイ!」
しかし何も返答はない。
「うっ、うっ……」
それどころか、ケイのすすり泣く声が聞こえてくる。
「どうした。お腹でも痛いのか?」
「ここ、どこ? あなたは誰?」
ええっ、それって……?
「ホタル、怖い……」
またホタル!?
見ると、彼女はぬいぐるみを持っていなかった。
>つづく