「地震?」
 塾帰りのエレベーターの中。
 隣に立っている見知らぬ女の子が、ポツリとつぶやいた。
 足先の感覚に集中しながら、上目づかいにエレベーターの天井を見る。確かにエレベーターは動きながらカタカタと揺れていた。

「……ッ!」
 ドンと突き上げるような衝撃。
 僕と女の子は、咄嗟にエレベーターの手すりにつかまった。
 地震の揺れは次第に大きくなり、
「きゃっ!」
 ガタンという大きな音とともに、僕達が乗ったエレベーターは止まってしまった。
 そして電気が消える。
「げっ、停電」

 僕、尾瀬開は、女の子と一緒にエレベーターに閉じ込められてしまった――


 >つづく