「あっ!」
「おっ」
いきなり電気が点いた。停電が復旧したようだ。
よし、動け!
願いを込める僕をよそに、エレベーターはちっとも動く気配がない。
なんだよ、早くしてくれよ……。
思っていたよりも早く電気が復旧してほっとしたのもつかの間、今度は狭い空間に閉じ込められた不安が僕を襲い始めた。
そして、それに追い打ちをかけるアナウンスが。
『お客様、ご無事でしょうか?
こちらはエレベーターのメンテナンス室です。
現在、他のビルでもエレベーターが停止しており、順次点検を行っています。
大変申し訳ありませんが、復旧までしばらくお待ち下さい』
おいおい、点検に時間がかかるのはわかるけど、頼むから早くここから出してくれよ……。
僕は泣きごとを言いたくなる。
今乗っているエレベーターは、十人くらい乗れば一杯になってしまうくらいのタイプ。
現在乗っているのは二人だけで余裕があるとはいえ、狭い空間に閉じ込められているのは気持ちがいいものではない。それに停止時間が長引けば大変なことになりそうだ。二人が横になることなんてできそうもないし、トイレに行きたくなったら最悪だ。
隣の女の子の不安はさらに大きかったようだ。
彼女はエレベーターのドアに近づいて前かがみになると、スイッチ類の下のマイクに口を近づけた。
>つづく
「おっ」
いきなり電気が点いた。停電が復旧したようだ。
よし、動け!
願いを込める僕をよそに、エレベーターはちっとも動く気配がない。
なんだよ、早くしてくれよ……。
思っていたよりも早く電気が復旧してほっとしたのもつかの間、今度は狭い空間に閉じ込められた不安が僕を襲い始めた。
そして、それに追い打ちをかけるアナウンスが。
『お客様、ご無事でしょうか?
こちらはエレベーターのメンテナンス室です。
現在、他のビルでもエレベーターが停止しており、順次点検を行っています。
大変申し訳ありませんが、復旧までしばらくお待ち下さい』
おいおい、点検に時間がかかるのはわかるけど、頼むから早くここから出してくれよ……。
僕は泣きごとを言いたくなる。
今乗っているエレベーターは、十人くらい乗れば一杯になってしまうくらいのタイプ。
現在乗っているのは二人だけで余裕があるとはいえ、狭い空間に閉じ込められているのは気持ちがいいものではない。それに停止時間が長引けば大変なことになりそうだ。二人が横になることなんてできそうもないし、トイレに行きたくなったら最悪だ。
隣の女の子の不安はさらに大きかったようだ。
彼女はエレベーターのドアに近づいて前かがみになると、スイッチ類の下のマイクに口を近づけた。
>つづく